NEWS一覧

2023.10.31

紙谷先生、西岡先生の論文”Antithyroid Drug-induced Leukopenia and G-CSF Administration: A Long-term Cohort Study”がScientific Reports誌にアクセプトになりました。

バセドウ病の多くは抗甲状腺薬で治療しますが、稀であるが深刻な副作用である無顆粒球症についての特に長期的なエビデンスは十分ではありません。本論文は、レセプトビッグデータを用いて抗甲状腺薬による無顆粒球症の発症頻度の長期リスクについて検討したものです。これまでの多くのデータは単施設の専門病院からの報告がほとんどであり観察期間も限られていたのですが、今回14751名の抗甲状腺薬を投与されたバセドウ病患者を平均観察期間757日間フォローしたという大規模かつバイアスの少ないコホート研究により、リアルワールドにおける無顆粒球症、G-CSF投与の長期的リスクを明らかにしました。

また出版されたら詳細をお知らせしますが、MMI, PTUいずれも短期的リスクと長期的リスクが異なることを今回初めて明確にしました。4名のレフリーとのやりとりもありかなり時間がかかり苦労しましたが、今後ガイドライン等にも影響しうる論文になると自負しています。紙谷先生、西岡先生おめでとうございます。

今後もビッグデータ解析に基づく内分泌疾患、糖尿病についての面白い論文が続きます。他のプロジェクトも頑張って行きましょう。

2023.10.20

玉城先生の症例報告「Efficacious Primary Pasireotide Therapy in a Case of a Large Invasive Adenocorticotropin-secreting Pituitary Tumor」がJCEM Case Reports.にアクセプトになりました。おめでとうございます。

これはKnosp grade 4の浸潤性ACTHomaに対して術前投与したパシレオチドが著効し、結果的には手術が不要になってPrimary Medical Therapyとして有用であった症例を報告したものです。

クッシング病は手術で全摘できない場合、その後の薬物療法でも難渋することが少なくありません。このように全例で著効するとは限りませんが、術前投与、Primary Medical Therapyとしてのパシレオチドの使い方に対する重要な示唆になると思います。

2023.10.17

Web講演会のお知らせです。

10月24日(火)に第8回お茶の水内分泌代謝セミナーが開催されます。Web参加も可能ですので、奮ってご聴講下さい。

高橋教授の「新たな疾患概念 傍腫瘍自己免疫性下垂体炎の樹立と学問体系Onco-Immuno-Endocrinologyの提唱」についての講演だけではなく、興味深い症例や「副甲状腺機能亢進症〜手術ができないときの次の一手〜」についての東大、槙田先生の講演もあります。詳細はホームページに記載しています。どうぞお気軽にご参加ください。

2023.10.03

 榑松先生がJCEM Case Reports 出版した論文 “Adrenal Crisis Associated With COVID-19 Vaccination in Patients With Adrenal Insufficiency” が今週のFeatured articleに選ばれました。おめでとうございます。

本論文では副腎不全の患者さんにコロナワクチンを投与した場合に、発熱や食思不振を呈した場合にはクリーゼのリスクがあることを報告したものです。基本的にはワクチン接種後に発熱や食思不振を呈した場合には3倍以上のヒドロコーチゾンの服用を推奨しています。またアデノウイルスベクターの場合には1回目から、mRNAワクチンの場合には2回目にリスクがあります。9月からコロナワクチンが始まっていますので、副腎不全の患者さんを診療されている先生方にご参考になりましたら幸いです。

Featured article期間は無料でダウンロードできるようです。https://academic.oup.com/jcemcr

2023.09.11

99日第6回やまと内分泌代謝同好会がWeb形式で行われ多数の先生方のご参加のもと活発なディスカッションが行われました。

一般演題では奈良県総合医療センターで、本会の世話人の一人でもある上嶋先生のもと研修中の出口泰地先生が、下垂体膿瘍が疑われた興味深い症例についての発表がありました。また今回公募の一般演題として総合内科で見逃された軽度の副甲状腺機能亢進症の症例のご発表がありました。本会では一般演題も30分の時間をとって非常に濃厚なディスカッションが行われるのが特徴で、そのディスカッションだけでも耳学問として勉強になります。出口先生は落ち着いてよくまとまった発表をされ成長ぶりが伺えました。また多くの先生方の一般演題のご応募も歓迎しております。

特別講演では、獨協医科大学埼玉医療センター 糖尿病内分泌・血液内科主任教授の橋本貢士先生に「明日からすぐに役に立つ甲状腺診療のクリニカルパールと最新の話題」についてご講演頂きました。

1時間の講演時間があっという間で、バセドウ病のガイドラインのアップデート、橋本先生が見つけられた難治性バセドウ病のマーカー、新しい薬剤、そしてアミオダロン誘導性甲状腺中毒症などについて、非常にわかりやすいお話で、目から鱗の話もありました。特に奈良医大でもアミオダロン誘導性甲状腺中毒症で非常に難渋している患者さんを診療していましたので、大変参考になりました。ディスカッションも時間を超えて盛り上がり、その後は世話人の先生方とともの慰労会も大変盛り上がりました。

2023.09.05

当科では来年度専攻医、大学院生絶賛募集中です。

すでに希望を表明して頂いている先生も複数おられるため、応募多数の場合には来年度の大学での研修が難しくなる可能性もありますので当科を希望される先生はお早めにご相談ください。一時的な国内(臨床、研究)留学、研修についてもご相談に乗ります。

 

ご連絡は当科のメールまでお願いいたします。dm840@naramed-u.ac.jp

 

奈良県立医科大学附属病院の専門医登録スケジュールが下記のように発表されました。

一次募集で満員になった場合には二次募集をしない場合もあります。

【一次募集】

11/1(水)正午~11/14(火)

⇒この期間中に、研修医は機構システムから申し込むことになります。

【一次募集採用調整期間】

11/16(木)~11/24(金)

⇒基本的に、この期間内に面接等選考が実施されます。

【一次募集結果発表】

11/29(水)

【二次募集】

12/1(金)~12/14(木)

【二次募集採用調整期間】

12/15(金)~12/22(金)

【二次募集結果発表】

12/25(月)

2023.08.28

高橋教授の総説「Nonalcoholic fatty liver disease and adult growth hormone deficiency: An under-recognized association?」がBest Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolismに出版されました。

高橋教授が2006年にGastroenterologyに成人GH分泌不全症にNASHを合併した1例においてGH補充療法が劇的な効果を示した症例報告は成人GH分泌不全症とNAFLD/NASHの関連を初めて明確に示した報告として注目されています。その後高橋教授のグループは、成人GH分泌不全症77例と年齢、性別、BMIをマッチさせたコントロールと比較して、明らかにNAFLD/NASHのリスクが高いこと、症例によっては肝硬変まで進展しうることを示して来ました。そして動物実験等でGH/IGF-Iが肝臓における脂肪沈着だけではなく、炎症、線維化を制御していることを見出しました。特にIGF-Iが肝星細胞機能の細胞老化を介して線維化を抑制するという新たな機序についても報告しました。その流れに沿って成人GH分泌不全症とNAFLD/NASHの関連については、世界中特にアジアからたくさんの論文が報告され、小児でも肝硬変、肝不全に進展する例などがあることもわかってきました。

成人GH分泌不全症に加えて、一般的なNAFLDのリスクとなる肥満、糖尿病や下垂体機能低下症に合併しうる視床下部症候群などがあるとNASHは急速に進行します。それらを踏まえて高橋教授は多くの先生方とともに班会議や学会と連携して、以前は糖尿病禁忌であったGH製剤の問題について取り組み厚労省と交渉し最終的に禁忌が解除され、今では糖尿病合併の患者さんでもGHは慎重投与することができるようになりました。また成人GH分泌不全症の診断と治療のガイドラインでも、脂肪肝(NASH/肝硬変)の合併に注意が必要であることが記載されています。

今回のこの総説はこれらの流れとともに、最新の知見を紹介しています。下記のリンクは無料でPDFがダウンロードできる期間もありますので(出版社からホームページやFBでの公開についても許可されています)、ご興味のある先生はご覧ください。

https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S1521690X23000908?dgcid=author

2023.08.16

榑松由佳子先生の論文「Adrenal Crisis Associated With COVID-19 Vaccination in Patients With Adrenal Insufficiency」が2023814JCEM Case Reportsに公開されました。

この論文は自験例の下垂体機能低下症に伴う中枢性副腎不全の患者さんでコロナワクチン接種後に副腎クリーゼを起こした3症例をまとめるとともに、ワクチン後のクリーゼについてのこれまでの文献レビューをしたものです。その結果、以下の興味深いことが明らかになりました。今後コロナワクチンは定期接種化される可能性もありますし、副腎不全の患者さんと診療されている先生たちにとって非常に重要な情報を提供できたと思います。

重要なポイントは以下の通りです。

  • 副腎不全で補充療法中の患者さんはコロナワクチン接種後の副反応に関連して副腎クリーゼを起こすリスクがある。
  • インフルエンザワクチンなど従来のワクチンでは副腎クリーゼの報告はない。それはおそらくコロナワクチンの強い全身性副反応によるものと考えられる。
  • コロナワクチンの場合、アデノウイルスベクターワクチン(アストロゼネカ)の場合には1回目接種後、mRNAワクチン(ファイザー、モデルナ)の場合には2回目接種後にクリーゼを起こしやすい。このことはアデノウイルスベクターワクチンでは1回目から、mRNAワクチンでは2回目により強い副反応が出やすいことが関連している可能性がある。
  • 高齢者でコロナワクチン接種後に発熱や食欲低下を呈した場合には、副腎クリーゼ発症のリスクがあり、このような全身症状が現れた場合にはヒドロコーチゾンを増量する必要がある。その場合には2倍量では足らず3倍量以上に増量する。
  • コロナワクチン接種する場合には、上記の点について患者及び家族へのストレス時の対応に対する教育が重要である。

オープンアクセスですので、ご興味のある先生方は是非ご覧ください。
https://academic.oup.com/jcemcr/article/1/4/luad079/7242395?searchresult=1

2023.06.28

高橋教授の英文総説 “Paraneoplastic autoimmune hypophysitis: a novel form of paraneoplastic endocrine syndrome”Endocrine JournalFeatured article に選ばれ、表紙を飾っています。

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/endocrj

このParaneoplastic autoimmune hypophysitis、傍腫瘍自己免疫性下垂体炎は高橋教授のグループが多くの仲間と共に長年携わってきたCase-oriented research, Disease-oriented researchの成果で、20年以上前に見出し新たな疾患概念として提唱した抗PIT-1下垂体炎の原因を解析するうちに傍腫瘍症候群として起こることが明らかになり、その後ACTH単独欠損症、免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎の一部も同様の機序であることを見出して、傍腫瘍自己免疫性下垂体炎として報告したものです。

 表紙のイラストにわかりやすくシェーマにしたのですが、いずれも随伴する腫瘍において、異所性に下垂体抗原が発現し、免疫寛容破綻が生じることによって、特異的な下垂体ホルモン欠損が引き起こされるという新たな機序です。

 これらの成果は、国際内分泌学会、欧州内分泌学会に招かれて特別講演を行い大きな注目を頂きました。また今回のEJだけではなくEndocrine Review, EJE, Best Prac Res Clin Endocrinol Metabにおける総説の機会、現在改訂中のWilliams textbook of Endocrinologyの執筆の機会も頂きました。また新たな切り口を加えて現在Nature Reviews in Endocrinologyに執筆中です。

日本発の疾患概念としては、古くは橋本病やIgG4関連疾患などもありますが、その一つとして貢献できたことは非常に幸運かつ光栄なことです。改めて一緒に困難を乗り越えてきた若い先生、仲間たちに心から感謝いたします。そして奈良医大でも新たな挑戦を続けたいと思います。

2023.06.10

榑松由佳子先生の“Adrenal crisis associated with COVID-19 vaccination in patients with adrenal insufficiency: A literature review”JCEM Case reportsにアクセプトになりました!

この論文は、私たちが経験した副腎不全に対する補充療法中にCOVID-19ワクチン接種後に副腎クリーゼをきたした3例とともに、これまで世界で報告された症例と合わせて9症例をレビューして考察を加えたものです。

インフルエンザなどこれまでのワクチン後にクリーゼをきたすことはないのですが、COVID-19ワクチンは副反応が強いためにクリーゼのリスクがあります。ワクチンの種類によってもタイミングに特徴があること、どのような時にヒドロコーチゾン増量が必要なのかなどをポイントで解説しています。出版されたら詳細を報告しますので、ご興味のある先生はどうぞご覧ください。

この3年の間にこれまで論文を書いたことがない先生も書けるようになってきました。現在、非常に面白い症例報告、レセプトビッグデータの論文を準備、投稿中です。引き続き、講座のメンバーと成長を感じつつ楽しみながら患者さんのためになるような論文を発表していきます。

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