若手医師の声

医員池 茉美香

私は元々内分泌疾患に興味がありました。一見不定愁訴の様な非特異的な症状が多い中で、ひとたび正しく診断がつくと治療で症状が速やかに改善する点に魅力を感じたからです。内科の中では血液内科と最後まで迷いました。血液内科は移植などのダイナミックな治療法があり、内科的に治療が完結できるという点で魅力的でした。また糖尿病内分泌と共通して、慢性的な経過をたどることも多く患者一人一人とじっくり向き合える点や、特別な手技を身につける必要なく、臨床症状や各種検査から診断できる点も良いと思いました。散々迷いましたが最終的には当科を選びました。
内科的治療は外科手術の様にドラマティックな変化はなさそうな印象がありましたが、様々な症例を通して内服調整や簡便な手技だけでも患者の容態改善に大きく貢献する力があるのだと感じました。そんな中でも当科の魅力は臨床で目にする機会が多い疾患を扱っており、汎用性が高い分野であること、また一見治療は簡単な様に見えて実に奥が深いことです。さらに最近であれば悪性疾患に対する免疫チェックポイント阻害薬の使用でirAEを起こし1型糖尿病や下垂体機能低下症などを発症する例も増えており、共観を通して他科との関わりが多い点も魅力だと思います。
当科では2020年4月から内分泌疾患も診ていますが、医局の雰囲気ははとてもアットホームで、各自学んだ知識をみんなで日々共有しています。内科新専門医制度も始まっていますが、当科の疾患は症状や病態も多様で、様々な疾患群で登場します。この数ヶ月だけでも多くの症例を経験することができ、充実した毎日を過ごしています。科の特性上あまり急変が多くなく、日中に検査結果を見て今後の治療方針を立てられることが多いので、ライフワークバランスがとりやすい科でもあります。医師として体力的にも技術的にも細く長く携わることができる科であり、選んで良かったなと心から感じている日々です。

医員新居田 泰大

私が糖尿病・内分泌内科に入局しようと思った理由の1つは、糖尿病治療の予防医学的な面に魅力を感じたからです。糖尿病がリスク因子となる合併症は多彩であり、糖尿病患者は非糖尿病患者に比べて健康寿命が短いとされています。また糖尿病の治療目標には「健康人と変わらない生活の質(QOL)を保つ」と掲げられています。専門知識を持って糖尿病患者の良質な管理を行うことで合併症の発症やADLの低下を抑えることができ、それによって患者様の健康寿命の延伸が期待できると考えています。私は医学部生の頃から社会医学の分野に興味があり、医師3年目からは本学大学院公衆衛生学講座への入学を決めていました。しかし、社会医学においても臨床医としての視点を持つことは研究を進めていくにあたって大事であると先輩医師に勧められたため、初期研修医の間は臨床と社会医学研究の両立を許容してくれる入局先を探していくこととなりました。そのなかで糖尿病・内分泌内科との運命的な出会いがありました。臨床と研究の両立を許容してくれたことも糖尿病・内分泌内科に入局しようと決めた理由の1つです。研究との両立を許容してくれただけではなく、現在では研究を滞りなく進められるように働き方をサポートしていただいています。自らが設計したキャリアパスを受け入れてくれるだけではなく、応援もしてくれる寛容的な医局に入局することができて僥倖の極みです。

医員河邉 良枝

私は再受験で奈良医大に入学し6年生のときに出産し今は1児の母です。初期研修1年目から基礎系研究室の大学院へ進学し、同時に奈良医大で初期研修を開始しました。2年間の初期研修期間中に、子育てと後期研修の両立ができ、しかも面白くてやりがいがある診療科を探し、2年目の秋にようやく糖尿病・内分泌内科に出会いました。当科で扱う疾患は内科の中でも治療法があるものが多く、しかも治療によって患者様の長期的な予後を大きく改善することができます。糖尿病は患者様との対話の中でそれぞれの背景を考慮しながら血糖値を改善できる点を一緒に探し、将来生じうる糖尿病による合併症を減らしたいと患者様自らが感じて行動に移していただけるように陰ながらサポートすることが大切で、難しさと面白さを併せ持つ分野であると感じております。また内分泌領域ではちょっとした不調とも言うべき症状の裏に隠れる内分泌疾患を見逃さないように注意を払い、負荷試験などを駆使して原因を一つ一つ検証していく面白さがあります。これら全く特徴の異なる2つの疾患群を同時に経験できるのも糖尿病・内分泌内科の魅力の一つです。 当科は小さな診療科ですが,高橋教授を筆頭に良き指導者が沢山おられ、困ったことがあれば誰にでもすぐに何でも相談できる環境があります。また、子育てをしながら臨床と研究に取り組む女性医師も沢山おられます。私自身も子供を保育園に預けながら日中は忙しくしていることもありますが、このような環境で勉強させていただくことができてとても幸せに感じております。

医員出口 泰地

糖尿病は国民病であり、動脈硬化に与えるリスクは加齢15年分に相当するとも言われています。私は、臨床研修病院でその事実を痛感しました。生命予後に直結する心血管疾患で救急搬送された患者様の多くが糖尿病を合併していたのです。そして、急性期治療を経た患者様の中には、元通りの生活に戻ることができない方が多数存在することを目の当たりにしました。そのとき、一次予防の重要性をあらためて実感し、糖尿病を真剣に学ぼうと決意しました。また、内分泌疾患に関しては、ホルモンの働きが精神症状に影響していることが衝撃で、大変興味深いと思うようになりました。甲状腺機能異常が精神症状に与える影響は有名ですが、ほかにも褐色細胞腫や周期性クッシング症候群などの様々な内分泌疾患が人の精神に干渉しています。精神疾患を抱えている患者様の中に、現代の内分泌医療で根本的な解決が可能な方が多数含まれているかもしれません。患者様の心の症状にも耳を傾け、適切な内分泌学的検査・治療を実施し、役立つことができればと考えています。最後に、奈良県では糖尿病・内分泌内科専門医が不足しており、当医局はこれからの活躍がとても期待されています。ともに研鑽を積める仲間がたくさん入局してくれると嬉しいです。

医員松本 直也

私は患者さんと向き合っていくという点で糖尿病内分泌内科に興味がありました。内科では、他に呼吸器内科も考えており、最後まで迷いました。呼吸器内科では、気胸、呼吸不全など急性期疾患から、気管支喘息、肺気腫など慢性期疾患まで幅広く診ることができる点が魅力的でした。研修医の時に当科をローテートさせて頂いた際に、同じ糖尿病の方でもインスリンの抵抗性や食事量に合わせたオーダーメイドの治療を行っており、患者さんによって糖尿病の疾患への思いが異なるため、患者さんと多くのことを話し、治療を考えていく必要があることを知りました。また、内分泌の患者さんも担当しましたが、検査結果や身体所見から内分泌異常を疑い、正しく診断し治療介入できれば、症状が改善することに魅力を感じました。ホルモンは目に見えないながらも全身の臓器に影響を与えており、内分泌異常では症状も非特異的なことが多いため複雑ですが、複雑だからこそ専門性が高く、重要な分野だと感じました。じっくりと患者さんと関わり、治療を一緒に考え、何が原因で症状が出ているのか深く考えていくところが自分と合っていると感じ、最終的に当科を選びました。 当科では、朝のカンファレンスで新しい患者さんの治療方針を相談したり、勉強会で学んだことを共有したり、いつでも相談できる環境が整っています。子育てをしながら働いている先生も多く、ワークライフバランスも取りやすいところも魅力的です。 他科との関わりも多く、ステロイド使用や周術期、周産期の血糖管理や、最近では免疫チェックポイント阻害剤使用に伴う内分泌異常(irAE)なども注目されており、今後さらに需要の高まる分野だと考えています。この数カ月でも非常に多くの、かつ複雑な症例を経験し、そのたびに多くのことを学ぶことができました。まだまだ未熟ですが、今後も患者さんから学びながら日々精進したいと思います。

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