NEWS一覧

2022.10.25

奈良県立医科大学内科では、一般診療に役立つコンテンツを動画で公開しています。

当科では高橋教授の「副腎不全診断治療のパールとピットフォール」をご覧頂けます。副腎不全患者さんを診察する場合に役立つ知識や診療のコツをわかりやすく解説しています。

また専門以外の内科領域でも総合内科専門医のための知識の確認やプライマリケアに役立つ動画が満載です。どうぞご覧ください。

https://naramedu.sharepoint.com/sites/imtp

2022.09.21

世界の下垂体のエキスパートが集まるThe Pituitary Societyのホームページがリニューアルされました。高橋教授は2022年よりThe Board of Directors(理事)を務めています。

今までの学会のプログラムや、Webセミナーで「クッシング症候群治療後の離脱症候群と治療」も視聴可能です。

The Pituitary Society Meeting2年に1度、全米内分泌学会の時期に同じ場所で開催されます。次回は来年2023年612-14日にシカゴで開催予定です。下垂体疾患領域の世界の最新の情報を得ることができますので、奮ってご参加ください。

https://www.pituitarysociety.org/

2022.09.05
高橋教授が主催する第23回日本内分泌学会近畿支部学術集会についてのお知らせです。
今回多数の一般演題、若手優秀演題賞のご応募を頂きました。心より感謝申し上げます。是非、お越しいただき晩秋の奈良とともに対面の学会を満喫頂けましたら幸いです。
ご挨拶
2022年の第23回日本内分泌学会近畿支部学術集会会長を拝命した高橋 裕と申します。この度11月26日(土)に奈良コンベンションセンターで開催させて頂きます。新型コロナウイルスの流行は持続していますが、共存の形式で昨今の多くの学会が対面で安全に施行されていることから、十分な感染予防対策を行いながら現地開催で行わせて頂きます。
 皆さんは学会に何を求めておられるでしょうか?日常診療で診断・治療に悩む症例は稀ではありません。そのような時に適切な指導医、十分なディスカッションができる恵まれた環境は多くはありません。一方で皆で悩んでいたことがエキスパートの一言で氷解することはよくあります。学会での症例報告は、まさに自分たちの実力を試し新たな視点を得る重要な機会です。今回一般演題には40演題ものたくさんのご登録を頂きました。そして若手優秀演題賞にも23演題ものご応募を頂きました。厳正な書類審査の結果8人の先生方に当日発表して頂きますが、残念ながら落選された演題もいずれも魅力的で甲乙つけがたく、ぜひ一般演題として素晴らしいご発表をお願い申し上げます。ベテランの先生におかれましては、発表される若手をencourageして内分泌診療の魅力をお伝えできるような活発なご議論をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 今回学会のテーマは「内分泌疾患診療を楽しもう」にさせて頂きました。皆さんにとって外来は楽しいですか?どうして良いか分からなかったり、患者さんが増えて辛いこともあるかもしれません。楽しむために必要な要素は「新たな気づき」「小さな成功体験」「自分の成長」そして「患者さんからの感謝」です。本学会が少しでもお役に立てればと存じます。
 本学会では内分泌疾患診療を楽しむための日常診療に役立つアップデートの知識を盛りだくさんにお届けできるよう教育講演として藤田医科大学 鈴木敦詞先生による「骨粗鬆症治療アップデートー内分泌・代謝疾患の視点から」大分大学 柴田洋孝先生による「病態生理から見たMR関連高血圧の管理:原発性アルドステロン症の最適管理を目指す」、そしてランチョンセミナーとして神戸大学 福岡秀規先生による「機能性下垂体腺腫における薬物治療の実際」、JES We Can企画として大阪公立大学 新谷歩先生による「若手内分泌医師にも役立つ統計学へのアプローチ」、そして大変僭越ではございますが、私自身による指定講演として「明日から役立つ下垂体疾患ケーススタディ」を企画させて頂きました。
 昨今多いWeb学会は便利ではありますが行く苦労が少ない分やはり心に残るものは少なく、対面の学会の質疑における耳学問や人との交流はかけがえのないものです。今回の学会で皆さんと直接交流できることを大変嬉しく思うとともに、ご参加頂いた全ての方にとって実り多き学会となるよう、皆様のお力添えを何卒よろしくお願い申し上げます。
 この時期の奈良は紅葉のまっ盛りです。少し足を伸ばして頂くと東大寺、興福寺、薬師寺、春日大社、唐招提寺の世界遺産やプログラムの表紙の平城京などと見所がたくさんございます。是非この機会に学会とともに奈良そして日本の歴史を満喫して頂ければ幸いです。
令和4年11月26日
第23会日本内分泌学会近畿支部学術集会
会長 高橋 裕
奈良県立医科大学 糖尿病内分泌内科学 教授
2022.09.05
第48回 日本神経内分泌学会学術集会のお知らせです。
自治医科大学 神経脳生理学教授 尾仲 達史会長のもと、2022年10月29日(土)、30日(日)に自治医科大学医学部教育研究棟1階 講堂で開催されます。テーマは神経内分泌学から見た心と体です。
昨今の神経内分泌学の進歩によってヒトの心のメカニズムもかなり解明されつつあります。下記のプログラムのように臨床、研究いずれのご専門の先生方にも楽しんで頂ける内容になっております。一般演題、若手臨床症例演題あるいは、若手研究奨励賞応募演題も募集中ですので、奮ってご参加ください。
予定プログラム :
◆特別講演10月30日
・箕越靖彦(生理学研究所 生殖・内分泌系発達機構研究部門)
視床下部は炭水化物・脂肪代謝をどのように調節しているか?
◆教育講演10月29日(基礎系)、30日(臨床系)
・基礎系:竹内秀明(東北大学大学院 生命科学研究科)
メダカの視覚的な社会認知を介した行動選択とその分子神経基盤の解明
・臨床系:須原哲也(量子科学技術研究開発機構 量子生命科学研究所)
精神・神経疾患の回路と分子の可視化と新しい計測技術
◆話題の研究10月29日
・黒尾誠(自治医科大学・分子病態治療研究センター・抗加齢医学研究部門)
現代を生きる人類に特異的な老化加速のメカニズム
◆シンポジウム
・臨床系シンポ 10月30日:下垂体腫瘍の最前線:いま私たちはどこにいるのか?
演者:福岡秀規(神戸大学医学部附属病院 糖尿病・内分泌内科)、登坂雅彦(群馬大学大学院医学系研究科 脳神経外科学)、井下尚子(東京都健康長寿医療センター 病理診断科)
・基礎・臨床系シンポ10月29日:サイエンスは脳とこころのどこにまで迫れるか
演者:髙橋英彦(東京医科歯科大学)、奥山輝大(東京大学)、滝沢 龍(東京大学)
・若手シンポジウム10月30日:神経内分泌学の学際的研究を目指して
演者:戸田知得(北海道大学)、常松友美(東北大学)、清川泰志(東京大学)、 砂川玄志郎(理研)
◆川上賞受賞講演10月29日:堀井謹子(奈良県立医科大)
「不確かな脅威」に対処する神経メカニズムと強迫性障害との関連性
◆若手研究助成金報告10月29日:伊澤俊太郎(北海道大・マックスプランク代謝研究所)
視床下部MCH神経によるエネルギー代謝制御メカニズムの解明
◆若手研究奨励賞口演10月29日午後
◆臨床神経内分泌優秀ポスター演題10月29日-30日 口演は午後
2022.08.17

奈良県立医大の令和5年度博士課程の入学募集が始まりました。当講座においても大学院生を募集中です。

https://www.naramed-u.ac.jp/university/nyushijoho/igakukenkyuka/hakaseboshu.html

 内分泌代謝領域の臨床・基礎研究に興味のある先生、Physician Scientistとして成長したい先生を歓迎します。

 当講座では下記のようなテーマで研究を行なっています。いずれもクリニカルクエスチョンを大切に患者さんに還元できるようなものを目指しています。特に最近は主にレセプトビッグデータを用いて内分泌代謝疾患の重要なクリニカルクエスチョンの解明に挑戦しています。

https://www.naramed-u.ac.jp/university/subject_and_department_j/faculty_of_medicine/rinshoigaku/tonyobyo_naibinpitu.html

詳細については講座のホームページもご参照ください。社会人大学院として臨床を学びながら研究に従事することも可能です。
ご興味がある先生のご連絡をお待ちしています。

奈良県立医科大学 糖尿病・内分泌内科学講座

2022.07.26

7月25日に医局説明会を行いました。卒後1,2年目の先生方に対面、Webで多数ご参加頂きました。Webの実況中継もうまくいきました。関連病院でも中継で多くの先生に参加して頂きました(上嶋先生ありがとうございました)。
来年度から下垂体・副腎の研究をしたいと、関東から大学院生への進学をすでに希望頂いた先生もおられます。
来年はさらに賑やかに楽しく仕事ができそうです。新たな仲間が増えることを心から歓迎します。皆さんの成長・発展を応援できること、またヘリポート(有名になった)で一緒に写真を撮れるのを楽しみにしております。
まだまだ募集していますが、来年度大学での研修をご希望の先生はお早めにどうぞ。

2022.07.06

奈良県立医科大学 糖尿病内分泌内科学講座のホームページにようこそ。

2022年725()1830よりハイブリッドで医局説明会を行います。奈良県立医科大学臨床研修センター図書室で行いますので、近い方は是非対面で、遠方の方はWebでお気軽にご参加ください。

当科の紹介を兼ねて、現在更新中ホームページのご挨拶を下記に記載させて頂きます。

早いもので私が教授を拝命して2年間が過ぎました。この2年間で心がけてきたことがあります。それはアフリカのことわざですが「早く行きたければ一人で進め。遠くまで行きたければ、みんなで進め。」ということです。以前はともすれば一人で早く行こうとしがちだったのですが、こちらにきてみんなでより遠くへ新たな地平を目指して誰も見たことのない景色を一緒に見に行くことに決めました。そして怒涛のような2年間でしたが、私たちは全員一丸となって挑戦と進化を続けてきました。その結果、みんなで随分遠くに来たのではないかと思います。

まず講座の仲間が増えました。特に専攻医はフレッシュな3名が新たに参加して頂き、彼らのやる気に私自身も多くの刺激を受けています。さらにベテランの先生も加わり大変層が厚くなりました。

そして元々糖尿病については経験豊富な先生が多かったのですが、内分泌疾患の紹介患者数もうなぎ上りになり、講座の全員が内分泌疾患について多くの経験を積んで随分たくましくなりました。

当科の指導は非常に手厚くなっています。日本の大学病院では唯一だと思いますが、毎朝8:30から外来新患カンファレンスを私自身も参加して全員で行なっています。そこでは外来、入院のすべての新患患者をディスカッションし、必要な検査、診断のヒント、紹介状の行間から何を読み取るのかを全員で勉強しています。そのことによって、特にまだ外来経験がないあるいは浅い若い先生にとってはベテランの外来の疑似体験ができるとともに、1年で膨大な症例の経験に結びつけることができます。また経験のある先生も一人では判断が難しいケースでも安心して診療ができます。実際、若い先生たちは予習しておいて自分で考えフィードバックを受けることで、月ごとに成長していることがわかります。このカンファレンスは大変ですが、若い先生が成長するためには素晴らしいシステムであることを実感しており私自身は今後も続けていきたいと思っています。

また月曜日における症例カンファレンス、水曜の症例レビューではそれぞれ病態についての深い洞察に基づいたディスカッションを行うとともに、内容だけではなくプレゼンや質疑も磨くことができます。皆さん2年前と比較して見違えるようなプレゼンになってきました。そこではポリクリの学生さんもチャレンジして頂いており見事なプレゼンをされる方も多いです。

もう一つの特徴は月曜日夜のWeb勉強会です。もともとは女性医師の多い当科では産休、育休中でも学びを続けることができるように、また家庭があって早く帰らなければいけない医師も自宅から参加できるよう20:00-21:00Webで行なっています。それぞれ症例検討や文献紹介を行い、白熱したディスカッションが行われます。講義を聞いて内分泌代謝学に興味を持った学生さんもたくさん参加して鋭い質問をしてくれています。Webの良い点は距離は関係ないので、時には一流の外部講師をお招きしてレクチャーをお願いしています。いずれは海外の講師もお呼びできたらと思います。

火曜、金曜夕方には研究カンファレンスを行なっています。研究に従事していない先生、学生も自由に参加できます。私たちの現在のプロジェクトとして公衆衛生学との共同で内分泌代謝疾患を対象にしたレセプトビッグデータ研究を中心に、症例を深く掘げ病態を解明するための臨床、基礎研究など様々なスタイルの研究を行なっています。レセプトビッグデータの臨床研究だけではなく、先端巨大症の病因・病態解明や疾患iPS細胞を用いた病態解析などの世界最先端の基礎研究を希望される方も対応可能です。研究の指導方針として、診療における本人の素朴なクリニカルクエスチョンと興味を大切にしています。研究は順調に進めば知的刺激を受けるこれほど楽しい作業はありませんが、うまくいかないことも多いです。そのような時に自らが解決したいクリニカルクエスチョンに取り組んでいることは、前向きに継続できるエネルギーを与えてくれます。

また、大学病院なので診断・治療に難渋する症例によく遭遇しますが、まず世界のアップデートを十分勉強し、さらに重要なクリニカルクエスチョンを立案し問題を解決するために研究に取り組みます。目の前に実際患者さんがおられて、その問題を解決するための研究なので、皆非常にやりがいを感じながら、大学院生だけではなく、スタッフ、医員、そして学生さんも非常にホットかつ面白い教科書やガイドラインを書き換えるような研究テーマに取り組んでいます。具体的なテーマ等は研究のところをご覧下さい。

そして日本糖尿病学会、日本内分泌学会等、関連学会には皆積極的に発表しています。学会発表は本番だけではなく、その準備のプロセスでの勉強が最も大切です。発表内容に加えてプレゼンの仕方を含めて懇切丁寧に指導し何度も予演会を繰り返しながら、メンバーが発表のたびに成長しているのを実感しています。そして発表後は必ず論文化を目指します。また学生さんも希望すれば学会発表を指導しています。昨年は4年生の学生さんが賞を獲得しました。今後は広い視野を持つためにも海外の学会にも積極的に発表を目指します。

当科ではまず内科医として一人前になって総合内科専門医を取得して頂くための研修カリキュラムを用意しています。そして今年から内分泌代謝・糖尿病内科(領域)専門医が発足しました。私たちの分野では糖尿病だけではなく多くの内分泌代謝疾患もプロフェッショナルに診療できることが必須になります。当科では上記のように糖尿病だけではなく内分泌代謝疾患のエキスパートになるための全国でも有数の手厚い指導体制を構築しています。さらに色々なキャリアパスを目指す学生・先生方のお手本になるメンター、ロールモデルが存在します。そして関連病院の人事等もできるだけ本人の希望や家庭の事情を聞くようにしています。1-2年の短期間の研修も歓迎します。

当科の医局はアットホームな雰囲気で、子育て中の女性医師も多く活躍しており、何よりも楽しく学ぶことをモットーにしております。せっかく仕事をするのであれば、楽しくやりがいを持って取り組みませんか?糖尿病、内分泌代謝学に志を持った若い先生方を心から歓迎いたしますので、どうぞお気軽にご連絡ください(dm840 〈at〉 naramed-u.ac.jp)。

奈良県立医科大学 糖尿病内分泌内科学 教授 高橋 裕

2022.06.05
第95回内分泌学会学術総会(1)
大分別府で開催された第95回内分泌学会学術総会に参加してきました。現地参加の良さを実感した学会でした。
当科から多くのメンバーが参加し、下記のように多数発表できた大変有意義な学会でした。メンバーは時間をかけて準備して何度も推敲と予演会も繰り返して本番に臨みました。いずれの発表でも重要なご質問、コメントを頂き、今後の論文作成のための多くの参考になりました。特に私たちのビッグデータ解析は大変注目して頂きましたのでこれから症例報告等と合わせて論文で世界に発信して行きます。
また高橋教授が神戸大学で指導してきた山本雅昭先生が研究奨励賞、松本隆作先生が若手奨励賞、蟹江慶太郎先生がYIAを受賞しました。これは彼らの長年の不断の努力が報われたのだと思います。これから奈良医大のメンバーの受賞を目指して頑張って行きます。
• 高橋裕教授:教育講演 先端巨大症、クリニカルアワー 内分泌学の魅力とそれを伝えること
• 榑松由佳子先生:新型コロナウイルスワクチン接種後に副腎クリーゼを来たした中枢性副腎皮質機能低下症の3例
• 中島拓紀先生:レセプトビッグデータを用いた原発性アルドステロン症における骨折リスクの解明
• 紙谷史夏先生:抗甲状腺薬による無顆粒球症の臨床的特徴:real worldにおけるコホート研究
• 西岡祐一先生:2型糖尿病発症リスクにおける環境因子と遺伝因子の定量化の試み: レセプトビッグデータ解析
• 小泉実幸先生:レセプトビッグデータを用いた妊娠後骨粗鬆症の実態の解明
• 玉城由子先生:少量DSTで抑制されたが、AVSでコルチゾール自律分泌が示唆されたPAの2例
• 新居田泰大先生:レセプトビッグデータを用いた甲状腺眼症の疫学解析
そして学生さんも素晴らしい発表をしてくれました。
• 竹下沙希さん:トランスクリプトーム解析によって同定されたGHoma成因となりうる新たなパスウエイ
• 森田えみりさん:レセプトビッグデータを用いた自己免疫性甲状腺疾患の遺伝因子の解析
2022.05.26

神戸で行われた第65回日本糖尿病学会年次学術集会に参加しました。

当科からは公衆衛生学教室との共同研究のレセプトビッグデータを中心に下記の多数の発表を行いました。現地での発表、ディスカッションは大変実りの多いものでした。研究カンファレンスでは熱く議論して皆論文に向けて頑張っています。

 

岡田先生:健診・レセプト情報連結データベースの縦断的解析による疾病予測:eGFR slopeによる透析ハイリスク患者の抽出

中島先生:レセプトビッグデータを用いた食習慣による2型糖尿病発症リスクの解明

毛利先生:2型糖尿病患者の元来の性質と情報収集行動、HbA1cとの関連

紙谷先生:糖尿病患者ではSGLT2阻害薬により下肢切断が増えるのか:レセプトビッグデータを用いた疫学研究

西岡先生:1型糖尿病発症リスクにおける環境因子と遺伝因子の定量化の試み: レセプトビッグデータ解析

小泉先生:レセプトビッグデータを用いた妊娠後骨粗鬆症への糖尿病の影響の解明

 

そして奈良県立医大医学科学生の下記の3人も立派に発表してくれました。

竹下さん:レセプトビッグデータのクラスター解析によって明らかになった高度肥満の不均一性

永島君:環状2番染色体に合併した若年発症糖尿病の一例

森田さん:レセプトビッグデータを用いたSGLT2阻害薬による糖尿病網膜症進展防止効果についての解析

 

さらに紙谷先生の発表は日経メディカルが取り上げてくれました。

https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/202205/575033.html

2022.05.06

高橋教授の総説「A novel concept of “Onco-Immuno-Endocrinology” lead to a discovery of new clinical entity “paraneoplastic autoimmune hypophysitis”」がBest Practice & Research Clinical Endocrinology & Metabolismに出版されました。

 この総説は、今回高橋教授がBest Practice & Research Clinical Endocrinology & MetabolismでのInvited Editorとして企画した著書の一編となります。この企画には共同研究者の坂東弘教先生の「Paraneoplastic Autoimmune Hypophysitis: An Emerging Concept」、福岡秀規先生の「Immune checkpoint inhibitor-related hypophysitis」も含まれています。

 この著作のきっかけは高橋教授が神戸大学での仲間と長年行ってきた研究成果である新規疾患概念「抗PIT-1下垂体炎(抗PIT-1抗体症候群)」の発見からさらに発展した「傍腫瘍自己免疫性下垂体炎」に至る過程に興味を持って頂いたAshley Grossman教授から企画にお誘い頂いたことでした。そして新たな学問体系であるOnco-Immuno-Endocrinologyの提唱を行なっています。詳細は下記の内容をご覧ください。

総説は 50日間無料のシェア用のリンクを下記に貼り付けますので、ご興味のある方はお気軽にご覧ください。
https://authors.elsevier.com/a/1f0fJ,YcMSW8rr

本総説に関連して夏に行われる内分泌代謝サマーセミナーで高橋教授が教育講演を担当します。下記に抄録をご紹介いたします。
https://jesss2022.sakura.ne.jp/

 新たな疾患概念 傍腫瘍自己免疫性下垂体炎の樹立と
学問体系 Onco-Immuno-Endocrinologyの提唱

私たちは2003年に後天的特異的GH, PRL, TSH欠損症を呈した44歳の男性症例を経験した。その後、本例においてGH, PRL, TSH産生細胞に必須の転写因子PIT-1(POU1F1)に対する自己抗体が血中に存在しPIT-1に対する自己免疫によって発症することを明らかにし、3例を集積して「抗PIT-1抗体症候群」と名付けて新たな疾患概念として報告した1)。その後の解析により下垂体前葉細胞障害はPIT-1エピトープを認識する細胞傷害性T細胞(CTL)によること2)、さらにその免疫寛容破綻の原因はPIT-1を異所性に発現する胸腺腫である3)ことを明らかにして新たな胸腺腫関連自己免疫疾患であることを報告した。しかし、その後の症例の集積から胸腺腫だけではなく、異所性PIT-1発現をきたした他の悪性腫瘍によっても引き起こされる傍腫瘍症候群であること4)が明らかになり新たな傍腫瘍症候群として疾患概念を確立、診断基準を策定した5)。さらに疾患iPS細胞由来の下垂体を用いてPIT-1エピトープが提示されていること6)、患者末梢血からPIT-1特異的CTLをクローニングし、疾患iPS細胞由来の下垂体との共培養系による世界初のCTLによる自己免疫疾患のiPS細胞を用いた疾患モデルを樹立した7)。また同様の機序でACTH単独欠損症8)や免疫チェックポイント阻害薬関連下垂体炎が引き起こされる9)ことを示して新たな疾患概念として「傍腫自己免疫性下垂体炎」を提唱した10)。これらの概念を包括的に理解するアプローチとしての横断的概念Onco-Immuno-Endocrinologyの重要性を示した11)。本教育講演では新たな概念、アプローチの提唱に至る旅のプロセスとそこから得られた教訓について共有したい。

1) Yamamoto M, Takahashi Y et al. J Clin Invest 121 113 2011
2) Bando H, Takahashi Y et al JCEM 2014 99 E1744
3) Bando H, Takahashi Y et al. Sci Rep 2017 7 43060
4) Kanie K, Takahashi Y et al. JES 2020 5 bvaa194
5) Yamamoto M, Takahashi Y et al. Endocri Rev 2020 41 1
6) Kanie K, Takahashi Y et al. JES 2019 3 1969
7) Kanie K, Takahashi Y et al. manuscript in preparation
8) Bando, Takahashi et al Pituitary 2018 21 480
9) Kanie, Takahashi et al Cancer Immunol Immunother 2021 70 3669
10) Bando, Kanie, Takahashi et al Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2021 Nov 25:101601.
11) Takahashi et al Best Pract Res Clin Endocrinol Metab. 2022 e-pub

 

 

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